2009年12月03日

スポーツ関連の事業仕分けについて... 補足

はてなブックマーク - スポーツ関連の事業仕分けについて... 補足
今日(正確には昨日)のブログアクセスが、凄いことになっていて驚きました。

アクセスログを調べてみたら、成毛眞さんのブログからたくさんのアクセスがありました。そうこうするうちに、高野孟さんがツイッターでつぶやき、そこからのアクセスも加わりました。

やはり、影響力のある人が紹介するとリアクションも凄いんだなぁと妙に感心しました。

先日の記事に関するはてなブックマークのコメントを見て、いくつか考えたことがありましたし、昨日オリンピアンが抗議の会見を開いたこともあって、事業仕分けに関してもう少し私の考えを整理したいと思います。

まず、スポーツ関連の国の支出に対する私のスタンスを明らかにしておきます。私は、とくに競技スポーツ分野に関しては、現在の予算はけっして多くないと思っています。強豪国と比べて強化予算のケタがひとつもふたつも違う現実に、現場にいる人間としてはどうやって戦っていったらよいのか、途方に暮れる時もあります。

一方、かつて私が学生だったころ、スポーツに関わる省庁は12か13あると教わりました(もう20年以上前... )。今は省庁再編を経ていますのでもっと減っていますが、それでもスポーツ関連の行政は多くの省庁にまたがっています。

たとえば健康体力や職場のレクリエーション、パラリンピックなどと関連して厚生労働省、スポーツ施設と関連して国土交通省、町おこしのためのスポーツ聖地づくりと関連して総務省など。細かく見ていけば文科省以外に本当にたくさんの省庁が関わっていることに気づきます。当然、そこにはお金(=税金)がついています。

また、国民体育大会開催費(国庫補助金とtoto助成)とは別に、国体対策として、毎年総額で億単位の強化費(=税金)を各都道府県がそれぞれ傘下の競技団体に配分しています。これも合わせれば結構な額になるはずです。

したがって、スポーツ関連予算全体でみれば、結構な額のお金(=税金)が使われていることになります。しかし、その総額がいくらで、何にどれくらい使われているのかはすぐにはわかりません。

今回の事業仕分けは、天下りによるムダ遣いと、こうした非効率な行政にメスを入れ、国民の税金を有効に使おうというところが出発点のはずです。ですから、仕分け人(評価者)のコメントには傾聴に値する部分が多いと考えています。

スポーツに限らず、仕分けに関する報道の多くは「仕分け人が素人」「時間が短かすぎる」「けっきょく財務省主導」などと批判しています。しかし、仕分け人は納税者の代表として関係省庁の説明を聞き、財政や行政の専門家として事業に対する評価を下すというのが、事業仕分けのフレームです(仕分け人選定の不透明さに関しては批判されるべきですが今回は置いておきます)。

納税者の多くは当然素人です。ですから、仕分け対象に関する専門的知識は、むしろ持っていない方が国民目線での評価ができると思います。

逆に、仕分け対象事業の意義や必要性に関して説明責任を負っているのは担当官庁です。そして、今回の『民間スポーツ振興等補助金』事業に関しては、受益者たるJOCや日体協、日本武道館にも説明責任が求められています。

たとえば、国庫補助金とスポーツ振興基金、toto助成で行われる事業の性格の違いはどこにあるのか。国庫補助金による指導者養成事業(日体協)とスポーツ振興基金による指導者の海外研鑽活動、toto助成による指導者海外研修事業(JOC)のように、似たような事業の違いがどこにあるのかを納税者(=代表である仕分け人)にわかりやすく説明するのは文科省や受益者の責任です。それができなければ「ムダ」と言われるのは、いち納税者から見れば当然です。

前のエントリーに書いたように、今回の『縮減』の理由は、税金が同じような名目であっちこっちに出されていて非効率だという部分です。一本化すれば1〜2割は減らせるんじゃないですか?と問いかけているわけです。けっして「スポーツがムダ」だからではありません。

ちょっと話が逸れますが、私たち強化現場からすると、3つの財布(+自己財源)のどこから来たお金かで使える範囲や上限、補助の割合が異なるのはとても不便です。申請や報告のフォーマットも異なります。たとえば、強化合宿を行なう場合、ある予算ではこのスタッフのお金が出せないとか、この選手は補助の対象にならないとか。あるいは、この予算の余りは別の事業に回せるけど、この予算は使い切らなければならないとか。申請や報告が一カ所に同じフォーマットでできれば、かなり負担が減ります。

「マイナー競技は... 」という仕分け人のコメントは、ビデオを見れば仕分けグループの主要な意見ではなく、スルーできるものだとわかるはずです。逆に蓮舫さんは、スポーツが国民にもたらす意義に関してはちゃんと認めています。

上に書いたようにスポーツに関わる国の行政のしくみは複雑であり、それをスポーツ省/庁などにまとめて効率的で効果的にしていこうということは、前政権から超党派で検討されてきたことです。ですから、路線継続が鮮明となった今回の仕分け評価は、スポーツ界にとって喜びこそすれ抗議しなければならない評価ではないと個人的には思っています。

そう考えると、今回のアスリートによる記者会見は、(報道を見る限り)どこかピントがずれていたように感じます。非常に残念です。

私なら、『国民に夢と希望を与え活力をもたらすという競技スポーツの意義と価値を認めてくれていることに感謝したい。ただ、諸外国と比べて日本の強化費はケタ違いに少ないので、せめて国力(GDPなど)に見合った予算づけをお願いしたい。スポーツ関連予算が一本化されれば、現場に降りてくる額が増えるので歓迎だ。そのためにもスポーツ省/庁を早期につくって欲しい』と言いたいと思います。

でも、こんなコメントじゃメディアバリューはないからどこも取り上げてくれないんだろうな...

『必要なムダ』認めて 五輪選手ら仕分けに訴え
 日本オリンピック委員会(JOC)の選手強化事業などへの国の補助金(約27億円)が、政府の行政刷新会議の「事業仕分け」で削減対象とされたことについて、アーチェリーのアテネ五輪銀メダリストの山本博(日体大女短大教)、フェンシングの北京五輪銀メダリストの太田雄貴(森永製菓)らが1日、東京都内で会見し、「遠征費を自己負担している現状に理解を」などと見直しを求めた。
 8競技の選手、指導者10人が出席。山本は「スポーツを『必要なムダ』という豊かな見方が広がってほしい」。レスリング女子で2大会連続の五輪金メダリストの吉田沙保里(綜合警備保障)は「景気が悪いと企業にも頼れない」と国の支援の必要性を訴えた。
 仕分けで競技人口の少ないボブスレーなどへの支援が疑問視されたことについて、太田は「自分がメダルをとれたように、どの種目でも可能性はある。切るのは簡単だが、どうしたら強くなるかの議論を」と反論した。
(2009年12月2日 東京新聞朝刊)


※1日に1000を超えるユニークユーザがこのブログを見てくれたのに、コメントがゼロというのは、かなり悲しかったです。ひと言でも良いので、何か残してくれるとうれしいです。

※真ん中あたりを少し書き足しました。(2009/12/03 14:13)
※国体費用について少し書き足しました。(2009/12/09 22:00)
posted by kawai at 01:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感 | 更新情報をチェックする
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